#5 子育て世帯必読の書! 「学力」の経済学

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こんばんは。イチカラセイジです。

今回は子どもを持つ、若しくは将来欲しいと思うすべての方々に読んで頂きたい一冊、中室牧子氏著、「学力」の経済学について、皆様にお伝えさせて頂きたいと思います。

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「どんな人が書いているか」

 1998年慶應義塾大学卒業。米ニューヨーク市のコロンビア大学で博士号を取得。日本銀行や世界銀行での実務経験を経て2013年から慶應義塾大学総合政策学部准教授に就任し現在に至る。専門は教育を経済学的な手法で分析する「教育経済学」。

「本を読むとどんな知識が得られるか」

・教育経済学といった視点で、行政による教育施策の妥当性から、「意欲を出させる為にご褒美で釣って良いの?」といった日常における子育てでの悩みまで、エビデンスベース(実験論文等に基づいた根拠)で知る事が出来ます。

・サイエンスの分野ではあり得ないが、教育分野では「一億総評論家」となっていると筆者は指摘しています。「私の経験上・・・」子育てに携わった人間は必ずといって良い程、自身の経験における成功体験を政策議論の場から、日常的な助言に至るまで行われています。本書を読むことで、極めて再現性の低い成功経験を、再現性の高いものへと導く事が意図的に出来るということがわかります。

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「どんな人にオススメか」

子どもをどう育てたら良いかと悩む子育て世帯に圧倒的にお勧めします。さらに、出来れば就学前児童を持つ世帯であれば尚更必読の書とも言えるかと思います。

・教育政策の立案、実行等に係る方々にも読んで頂きたい一冊です。「少人数学級には効果があるのか?」、「世代内平等を重んじるあまり、世代間不平等を生んでいる実態」など、多くの示唆を得られます。

「イチカラセイジが得られた学びとは」

 何度も読みたい本となりました。私自身三度、この本を読んでいます。

一度目はざっとどういった事が書かれているのかについて、二度目は重要だと思われるところにラインマーカー。三度目はラインマーカー部分を中心に再読し、さらに残しておきたい部分に付箋紙。といった具合です。

 私自身が得られた学びとしては、特に

①子どもにとってのインプットとアウトプットの考え方

 この点については、本著から一部分を引用させて頂きます。

 「テストで良い点とればご褒美」と「本を読んだらご褒美」
どちらが、子どもの学力を上げる効果を持つのはどちらでしょうか。ご褒美が子どもの出席や学力にどのような因果関係を持つかについて、精力的に研究を行っているのが、ジョン・ベイツ・クラーク賞の受賞者でもある、ハーバード大学のフライヤー教授です。今まで、米国のシカゴ、ダラス、ヒューストン、ニューヨーク、ワシントンDCの5都市で、ご褒美の因果関係を明らかにする実験を行ってきています。
 ちなみに、この5都市で行われた実験は、実に9.4億円を使い、約250校、小学2年生から中学3年生までの約3万5千人もの子どもが参加した大規模なものでした。

「学力」の経済学 32頁より

詳細の実験手法についても記載がありますが、ここでは割愛。

 この2種類の実験のうち、子どもたちの学力を上げる効果があったのはどちらでしょうか。
 インプットにご褒美を与えると、子どもたちは本を読んだり、宿題をしたりするようになるのでしょうが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。
 一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績を良くすることを目標にしているのですから、直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
  しかし、結果は逆でした。学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。

「学力」の経済学 34頁より

 どうしてこうなったのかについても、本著では子どもたちが「ご褒美」にどう反応し、行動したかということを分析しています。

 ここから得られる極めて重要な教訓は、ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだということです。

「学力」の経済学 35頁より

とあります。引用は一部分ですので、実験結果の分析を補足するための説明などもしっかりと記載があります。また、「ご褒美」によって子どもは「勉強することの楽しさ」を失わせてしまうのでは?という疑問についても、本著では取り上げています。

どうしてそうなったのか?どんな実験を行ったのか?なども是非購入して知って頂きたいと思います。

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②幼児教育の重要性、「非認知能力」の重要性について

 ※非認知能力とは、「自制心」「やり遂げる力」「協調性」「思いやり」「豊かな人間性」といった”生きる力”のことです。

③学力の50%は家庭や本人の要因によるものだということ。

④③を踏まえて、教育施策は考えなくてならず、「平等」ばかりに重きを置くと逆に教育格差は広がるということ。

 身も蓋もない話ですが、事実として新潟大学の北條准教授らの分析や、行動遺伝子学の専門家である九州大学の山形准教授らの研究成果も紹介されています。

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⑤「負の連鎖」を断ち切る為には、教育への投資(時間とお金)が必要だということ。

「親の年収や学歴が高いほうが子どもの学歴が高くなる」というのは、文科省のデータからも明らかであると本著では取り上げています。「教育の収益率」の観点からも、特に小さい頃からの教育投資が株や債権などの金融資産への投資以上にリターンの大きいものだと多くの研究で明らかになっています。

特に⑤については、そんな「課金ゲーム」ついていけないよ。となりますよね。
その時間は誰がかけるのか?そのお金は誰が出すのか?

自分たちはお金はあまりないが、時間であれば出せるということであれば、子どもの勉強に寄り添う時間を多くするのも良いかと思います。

また、国や自治体が教育施策にもっと投資してくれるのが一番良いわけですが、すぐに変えられないものや自分がコントロール出来ないものに対して、不満を抱き、愚痴を吐き続けることはありとあらゆる面からデメリットしかありません。

先ずは目の前の出来ることから。

子どものアウトプットを褒めるのではなく、インプットを褒め、インセンティブを与える。そして、それは子どもが就学前児童であるころから心掛け、「自制心」や「やり抜く力(努力する力)」を養うために、非認知能力はどうやったら鍛えられるのかを学んでみる。(本著でも鍛える方法を紹介していますが、それだけで一冊の本として数多出版されています)

これだけでも、高い塾に通わせて等とは異なり、お金というより時間の投資をするだけで、子どもの学力はあがり、結果として自尊心が養われ、将来の財産に繋がることと理解しています。

以上が、私の得た学びですが、勿論それ以外にもたくさんの学びを与えてくれる本当に素晴らしい一冊です。

是非、多くの方に「学力」の経済学を読んで頂き、子どもの教育に活かして頂きたいと思います。

本日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
 
 
 

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