#6 どうやったら防げるかが大切! 「経済政策で人は死ぬのか?」

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こんばんは。イチカラセイジです。

今回は、デヴィッド・スタックラー氏、サンジェイ・バス氏著、「経済政策で人は死ぬのか?」について皆様にお伝えさせて頂きます。

「どんな人が書いているのか」

 デヴィッド・スタックラー氏は、公衆衛生学修士、政治社会学博士。王立職業技能検定協会特別会員。イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学などで研究を重ね、現在、オックスフォード大学教授、ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院名誉特別研究員。著者に「Sick Societies:Responding to the Global Challenge of Chronic Disease」がある。
 サンジェイ・バス氏は、医師、医学博士。オックスフォード大学大学院にローズ奨学生として学ぶ。現在、スタンフォード大学予防医学研究所助教、また同大学にて疫学者として従事。

「本を読むとどんな知識が得られるか」

 政府側の目線だけではなく、公衆衛生学者の視点で世界大恐慌・ソ連崩壊・アジア通貨危機・アイスランド金融危機・ギリシャ金融危機等、世界で発生した経済危機に対し、膨大な医療統計データを比較・分析した研究内容が記載されています。
 直面した政府がどういった経済政策を取り、その結果として、市民生活にどのような影響があったのかが、シンプルかつ的確な文章で書かれています。加えて、これらの自然実験(著者の表現)から、大不況下において政府が取るべき経済政策、国民として忘れてはいけない観点をデータから学ぶことが出来ます。
 そして、経済政策は経済成長や財政赤字のみならず、国民の健康と生死にかかわるものだということが理解できます。

Лечение НаркоманииによるPixabayからの画像

「どんな人にオススメか」

 「経済政策で人は死ぬのか」というタイトルの結論は明らかで、「死ぬ」という答えになります。ただ、そうならないためにはどういった経済政策を行えば良いのか。そして、何故歴史的な自然実験が積み重なり、データもあるのにも関わらず、なぜ政府は間違った政策判断をしてしまうのか。そこにはどういった背景や外圧があるのか。

国民には一体なにが出来るのか。

 こういったことを知りたいと考えている人にとっては、最適な本だと言えます。300頁超で文章量も多い書籍ではありますが、内容は読みやすく質問と答えが適切に組み立てられていて、私の場合、読んでいてイライラする事はありませんでした。

 寧ろ、人の生死がかかっている真面目な話ではありながら、政策判断や調査に至る過程での葛藤も垣間見え、一つの物語を自然実験毎に読んでいる感覚になりました。

 無論、歴史の勉強にもなります。

Peter HによるPixabayからの画像

「イチカラセイジが得られた学びとは」

 本書を読み進める中で、必ず見えてくる構図として、世界恐慌時のニューディール政策においても、共産主義崩壊から市場経済を取り入れ、一気に国有化から民有化を進めたソ連崩壊時においても、アジア通貨危機における各国にしても、様々な要因で金融危機に陥った際に出てくるのが、IMF(国際通貨基金)の緊縮財政であり、その政策を支持する専門家と、支持しない専門家が現れるという構図です。
 そして、政府はIMFという強烈な外圧に対し、どういった経済政策を選択するかが求められます。

 私が本書から学び取った内容として、不況下で国の崩壊が見えている状況だからこそ、「民主主義」を重んじる。そして国民生活を想像するということです。

机上の財政論で、緊縮財政で公衆衛生費削減にまで手を付け、セーフティネット関連予算まで手を付けてしまい、社会保護政策をないがしろにしてしまうことで、人々の生活は最終的にどこに行き着き、どういった生活環境になっていくかということです。
このことを想像できるかどうかは、歴史的な事実、データを学ばなくては出来ないことだと感じました。

そして、緊縮財政を選ばなかった国の事例でも出ていますが、「民主主義」がしっかり機能し、最後の最後で国民の声が政府の判断を踏みとどませる結果になったということです。

 現在、新型コロナウイルスが猛威を奮っている中、それがきっかけとなって新たな不況下に世界は置かれる可能性があります。ましてや、新型コロナだけでなく、日本においては首都直下型地震・南海トラフ巨大地震も発生する可能性が高いと言われていますので、重なる部分が多々あり参考になる一冊です。

今回の内容が、本記事を読んだ人の少しでも参考になればと思っています。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

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