こんばんは、イチカラセイジです。
今回は2020年1月30日発行、上念司氏著「誰も書けなかった日本の経済損失」について、皆様にお伝え出来ればと思っています。
上念司さんって面白い方だなぁ〜といつも思っています。
ツイッターやSNSで与野党関係なく、歯に衣着せぬ物言いで、ズバズバ切っている姿は国民にとってこの人が政治家になれば面白いのでは?と期待させる方ではあるのですが、本人には恐らくその気はないでしょう。
根拠はありませんが、何となくそんな気がします(笑)
それでも、我々国民にとって有益な情報、書籍等を通じて正しい経済の見方などを発信してしていただいていることに感謝の気持ちです。
それでは、本編に入ります。
「どんな人が書いているのか」
1969年、東京都生まれ。中央大学北岳部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。近著に「もう銀行はいらない」(ダイヤモンド社)、「経済で読み解く日本史」(飛鳥新所)、「官僚と新聞・テレビが伝えない じつは完全復活している日本経済」(SBクリエイティブ)など多数
「本を読むとどんな知識が得られるか」
タイトルや帯にも書いてある通り、「私たちはこんなに損をしていた!」、政府政策の不十分さを指摘した一冊になっています。なので、直接的な損というよりかは、愚策=税金の無駄遣い=国民の犠牲といった意味合いです。
本著では、「ひきこもり11兆円」、「睡眠不足8378億円」、「空き家4兆6563億円」等、指摘内容は社会福祉政策から、まちづくりなど多岐に渡っています。よく算出できたな、この算出合っているの?と疑問は正直、私自身も感じた部分もありますが、恐らく著者が伝えたかった事は、「国民一人ひとりの税金がこれだけ無駄になっている」という部分を、それが100%正解の算出根拠でなくても、数字感で把握して欲しいといった意味なのだと感じました。
そういった意味で、日本国政府における政策について、数字感も抑えつつ問題点を共有した一冊になっています。
「どんな人にオススメか」
著者の上念司氏は、歯に衣着せぬ物言いで有名な方です。経済に関する書籍というと難しい言葉が並んで、結論といえどもどこか遠回りで、専門用語ギチギチのイメージがあります。
それに比べて本著は、言葉の選び方と言いますか、非常に良い意味で面白く読み進める事ができる一冊となっており、なるほど日本政府が取る政策を経済視点で見ると、こういった具体的なところに問題として結びついているのか。と感じる事ができます。
そして大切なことは、課題を明確にすると、解決しようと動く人間、勢力が必ず出てくるということです。大きな流れを理解すると、日本がどういった方向性で進んでいくのか、一つひとつの課題が解決されるということは、どういった社会になっていく可能性があるのか。
この辺りを想像し、実生活に落とし込んだ時に将来を見越した先手を常に取れる人間へと成長できると考えます。
そういった意味で、本著は、政治に関心が有る方は勿論。
経済人、ビジネスマン、事業をやっている方などにも読んで頂きたい一冊となっています。
「イチカラセイジが得られた学びとは」
市民レベルの疑問をどう解消し、問題の解決にどのように政治にアプローチすべきなのかを知るというのは意外と難しいのが現実ではないでしょうか。
例えば、待機児童問題。
「保育園落ちた日本死ね」という個人ブログが国会でも取り上げられた記憶は新しいかと思います。
本著では保育園の新設を妨げる「岩盤規制」と見出しで、この問題を取り上げています。
そこでは、文科省事業である幼稚園と、厚生労働省事業である保育園の一元化議論は明治時代の帝国議会でも議論されているくらい古くからある問題だということ。
以下、引用
「さらに、最大の問題は保育園が巨大な補助事業である点だ。現在、公立の保育所は支出が収入の4倍もあり、赤字はすべて税金で補填されている。また、私立であっても認可保育園は9割以上が税金で賄われている。利用者から徴収する保育料は収入全体の3%未満なのだ。最近流行の「企業主導型保育園」も、そもそも「認可保育所並みの公的補助を受けられる」ところが売りであり状況は変わらない。
誰も書けなかった日本の経済損失 52頁
補助金を得るためには支給基準(規制)を守らねばならない。だから、保育園は自由に付加価値をつけたサービスを提供し、それに課金することはできないのだ。これは価格統制の一種である。しかし、この価格統制に従わないと補助金がもらえない。これこそが問題の本質だ。」
「例えば、シンガポールの場合、保育園は料金を自由に設定していいことになっている。そして、補助金は供給者側の保育園ではなく、消費者側の子育て世帯に配られている。いわゆる保育バウチャー制度だ。子育て世帯は補助金の範囲内で通える普通の保育園を選んでもいいし、いくらか上乗せして環境がよいとか、教育がよいとか、サービスの質の高いといった付加価値のある保育園を選んでも良い。そのため、新規参入も多く、特にこだわりがなければ、すぐに保育園に入れるそうだ」
誰も書けなかった日本の経済損失 54頁
この問題は、介護事業の分野にも多かれ少なかれ当てはまっていると感じます。
介護分野も基本的に、税金が事業収入になっています。
物凄く簡単に言うと、サービス過多でも駄目、サービス過小でも駄目、決められた内容(規制)にそってサービスを提供しないと補助金が得られない。
入居者の要介護状態によって、収入も変わるので、要介護を改善しようとすることは事業者にとっては収入源に繋がる。
単に、「なぜ待機児童が解決できないの?保育園はなぜ増えないの?」といった市民レベルの疑問に対する一つの答えであり、政治的にどの部分が問題であるのかがわかります。
難しいことは、政治の分野というのは、常に反対側の理論もあるということです。
上念氏が言っていることも一つの考え方、それはわかっている上で、取り組みを進めない側の考えもあるということです。
「理想は両方の話を聞いて、自分なりの答えを持って政治と向き合う」なのでしょう。
100%支持される政策などないということなんだと思います。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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